ビットコインを作ったのはサトシ・ナカモトという匿名の人物であり、いまもその正体は明かされていません。
しかし2016年5月、オーストラリア人起業家のクレイグ・ライト(Craig Steven Wright)氏が、BBCとエコノミスト誌、GQ誌に対して自身がビットコインの作者であると発言したことにより、状況は一変しました。
ビットコイン誕生の謎
2008年11月、metzdowd.comに、全9ページに及ぶ論文が投稿されました。論文のタイトルは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:ピア・ツー・ピア電子キャッシュシステム)」
この論文の発表が、数年後の世界経済を激変させる「ビットコイン」の始まりであることを、ほとんどの人は当時予想すらできませんでした。
そして「このビットコイン論文を書いたサトシ・ナカモト とは一体誰なのか?」はビットコインユーザーの中で長年神話となっていました。
サトシ・ナカモトはその後2009 年にはビットコインの仕組みそのものであるプロトコルと、取引やマイニングができるソフトウェア「Bitcoin-Qt」を完成させました。
論文発表後も関連ソウトウェアの開発に携わりましたが、次第に管理権限を他の開発者たちに明け渡し、表舞台から姿を消しました。世界各地で正体を探し当てようとする動きがありますが、特定に至っていません。
そもそも本当に実在する人物なのか、日本人なのか、個人なのかチームなのか、すべてが謎に包まれていました。
サトシ・ナカモトであると名乗り出たクレイグ・ライト氏はどんな人物なのか
クレイグ・ライト氏は現在 45歳、オーストラリアでドモルガン株式会社のCEOを務めながら、情報セキュリティー専門家、に暗号開発・解析専門家などさまざまな顔を持っています。
2018年に誕生したビットコインSVの有力者でもあります。
2016年にブログでクレイグはサトシナカモトでしか知り得ないはずの暗号キーを使って電子署名を示すという証拠を示しましたが、後にweb上からこれらのコメントやファイルを全て削除しました。本当にサトシ・ナカモトのかどうかの検証が進む前に沈黙してしまったのです。
その後、このことについては世界中で多くの疑問や疑惑が話題になりましたが、クレイグがサトシ・ナカモトであると考えられる証拠があるのも事実でした。
サトシ・ナカモトであると推測される要素
①巨額の投資
クレイグはビットコイン銀行の設立のために約100億円分のビットコインを投資しています。これは個人の投資家の域を超えており、運営上の重要なポストにある人物なのではないかと噂されています。
②発表前の論文を自身のブログで公開
サトシ・ナカモトが発表したのと同じ内容の論文を、メーリングリスト公開前に自身のブログで公開しています。
またこの論文の公開前に弁護士にこのシステムが法律上どういう扱いになるのかの相談をしているという事実があったそうです。
これらのサトシ・ナカモトしか知り得ない情報を事前にどうやって入手したのかという点から、クレイグ・スティーブン・ライト氏こそがサトシ・ナカモトであるという説が根強いです。
米国著作権局が、クレイグ・ライト氏の申請を認める
今年6月、クレイグがビットコインのホワイトペーパーの著作権を米国著作権局へ申し出ていることが判明しました。
この申し出は承認され、クレイグは本当にサトシ・ナカモトだったと話題になりました。
しかしこれには懐疑的な意見も少なくありません。米仮想通貨シンクタンクのCoinCenterのディレクターであるJerry Brito氏は同氏が単純に著作権登録を行っただけで、米国当局は信憑性を確認せずにそのまま登録を認めることができるため、米政府への著作権登録が必ずしもクレイグ・ライト氏が「サトシ・ナカモト」である証拠にはならないと指摘しました。
まとめ
クレイグが「私がサトシ・ナカモトである」と発言してから、クレイグに関するさまざまな疑惑や問題も出てきており、クレイグがサトシ・ナカモトであるという証明ができるのはもう少し先になるかもしれません。